どうも、ウモゾンです。
映画のレビューをします。
核心的な部分のネタバレには配慮をしていますが、完全ではないのでご注意ください。
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今回は『地球最後の男(1964年、原題:The last man on earth)』です。
この作品から、サバイバルについて学んでいきましょう。
シチュエーション
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始まって間もなく、『THE END HAS COME』と書かれた看板が映し出されました。
訳は『終末来たり』で、これが最初の字幕です。
映画好きなら共通認識としてもっている内容なので、あえて説明する必要はないのかもしれません。
吸血鬼が蔓延した世の中で、“地球最後の男”となった主人公の物語です。
冒頭のシーンから、主人公のモーガンがその状況に適応していることがわかります。
ナレーションからもわかるとおり、終末が訪れてから3年もの月日が経過しています。
起床後は自作のカレンダーに印をつけたり、無線で呼びかけを行ってみたり、日常のルーティンが確立されています。
物資の調達を含め、モーガンはきちんと生活基盤を築いています。
吸血鬼退治も日課のひとつです。
バンを運転し、亡骸を葬ったり、掃討作戦を実施したりします。
設定上、地球に残された人間はモーガン一人しかいません。
それでも彼には、生きる気力が溢れている様子が描かれています。
脅威の特徴
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主な脅威は吸血鬼です。
言葉を話したり、道具を使えたり、論理的思考力が備わっています。
しかし、それぞれの個体が強いわけではありません。
知能もさほど高くないようで、ひとりでも一度に複数を相手できるレベルです。
モーガンは研究者でもあるからか、吸血鬼の弱点を知っていました。
吸血鬼は、鏡とにんにく、そして太陽の光を嫌がります。
裏を返せば、吸血鬼の活動時間は夜に限られることになります。
モーガンのように特徴さえ把握できれば、対策の手立てを考えることができるでしょう。
予想外だったのは半人外、半吸血鬼とも呼べる存在です。
知性は人間と変わらず、当然ながら車を運転したり、銃器を使えたりします。
吸血鬼側と連帯していると思いきやそうではなく、彼らは独自に新しい世界の確立を目指しています。
目的も共有できていることから、対応が難しいのはむしろ半吸血鬼のほうでしょう。
スパイがもたらすもの
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モーガンは、半吸血鬼の女と出会います。
これは直接的な原因ではありませんが、元をたどればそこから失策が始まったといえます。
最初こそ疑ったものの、人間に出会えた喜びからか、彼女を治療をするに至りました。
この女が半吸血鬼のスパイで、襲撃のきっかけとなりました。
しかし状況から考えるに、これは不可避の展開といえます。
物語の設定は、地球上に残っているのが自分ひとりだけ。
さらに、モーガンは解決法(治療法)を知っている状況です。
生き残り(しかも美人)を見つけたら、寄り添うのは仕方のないことです。
そもそもモーガンは、以前から半吸血鬼にマークされていました。
そのことに気付かなかったモーガンは、守備固めがおろそかになっていたと言わざるを得ません。
目下の吸血鬼の脅威度が低く、油断していたことがモーガン失策の原因です。
武装した半吸血鬼集団から襲撃を受け、たった一人で乗り切るのは至難の業です。
分別をつける
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モーガンは基本的に夜間に行動して、家の出入口には鏡やにんにくを設置しています。
もちろんこれらは吸血鬼への対策ですが、直接的な退治にはつながりません。
嫌がるのは確実なので、侵入を阻止したり、動きを止めたりはできるようでした。
十字架も備え付けていましたが、教会での戦闘シーンもあることから、こちらは効果はなかったようです。
半吸血鬼に対しても、同様の効果を期待できます。
しかしそれらの弱点を除けば、人間と遜色ない能力を有しています。
いかに自分の有利な状況を作ることができるか。
半吸血鬼に対峙する場合の対処としては、これに尽きるでしょう。
具体的には、分別をつけることです。
夕方から夜間は行動しない、これは鉄則といえるでしょう。
討伐はモーガンの生きる目標ともいえるため、これを取り上げるわけにはいきません。
しかし夜は守備に徹することが絶対条件です。
ほかに生き残りがいないのであれば、住居を要塞化するべきでした。
慣れ親しんだ家にこだわりがあったのかもしれませんが、一般住宅はどうしても守備が手薄になってしまいます。
しかも3年もの期間を過ごしているのなら、セキュリティーが充実した施設に目星をつけ、移住してもよかったはずです。
リアリティーの粗さ
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発電機なのかわかりませんが、モーガンの自宅では電気が使えています。
車を動かせることから、石油系の燃料があるということは確かです。
保存用ガソリンの使用期限が3年と考えて、この設定はひとまず受け入れるとしましょう。
しかし、だとすれば吸血鬼の焼却に貴重な燃料を使っているのは違和感があります。
さらには、車が壊されるシーンがあります。
車屋に赴いたモーガンは「オープンカーもいいが見た目は関係ない。必要なのは機能だ」といってステーションワゴンを調達します。
整備未実施の展示車がすぐに走れるわけではなく、オイルを含め、新しい燃料の調達を考えなければなりません。
昔の車は構造が単純なので整備が可能かもしれませんが、燃料の使い方全般に関して再考の余地があります。
そもそもの発生原因について、作中では伝染病であるとされています。
免疫保持者であるモーガンの有用性はいうまでもありませんが、ここはリアリティーがありません。
多数の人口を抱える地球において、感染を免れるのがたった一人しかいない状況は、疫学上は考えにくい。
モーガンのほかに免疫保持者がいないと仮定すれば、発生の初期段階で対処できなかった時点で詰んでいます。
なんだかんだおもしろかった
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今回ご紹介したのは、『地球最後の男』でした。
総評としては、メタ視点での見方を踏まえると、おもしろかったです。
現代の吸血鬼・ゾンビ映画にも強い影響を与えているのがわかります。
この手の映画が好きな人には、エポックメイキングな作品といえるでしょう。
僕の場合、以前記事にした『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』につられるようにして視聴しました。
この作品もまた“観ていなければならないクラシック映画”だと思ったからです。
リメイク作品である『アイ・アム・レジェンド(I Am Legend)』は観たことがあり、そちらとの対比としても楽しめました。
個人的には、作品単体というよりも、ほかの要素ありきで観てしまいました。
リメイク版の『アイ・アム・レジェンド』がおもしろかったので、僕の中にこの前提がなければ物語の求心力が最後まで保たれなかったかもしれません。
低予算でスケールの最大化するという意味では、『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』のほうが優れていると思います。
とはいえ、なんだかんだおもしろく観ることができました。
半吸血鬼との闘いは、現代にも通じるものを感じます。
主義・主張の違いや、暴走する正義など、絵空事で済まされないリアリティーが透けて見えます。
『地球最後の男』がこの時代にまで残っていることについて、深く納得できました。
映画を見る時間があり、サブスクで観られる機会があれば、一度視聴してみても損はないと思います。
以上、ウモゾンでした。
ありがとうございました。
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